2012年10月22日月曜日

[読後感想]ブラックジャックによろしく-医療について考えたこと

『ブラックジャックによろしく』、アプリで無料で読めるてことで、13巻まで読みました。

こういう風に無料にしてくれたわけだし、考えさせられるテーマだし、感想を公開しておこうと思います。著者の方への感謝の気持ちも込めて。

1つ前に別の感想記事を書いていますが、
>>[読後感想]ブラックジャックによろしく-何かを変えるということ
今回は医療に対しての感想にしぼっています(あまり推敲できてません)。


あらすじ
「ブラックジャックによろしく」という話(の13巻まで)は、「研修医になったばかりの斎藤がスーパーローテートで複数の科を回る中での葛藤と、そのひたむきさに指導医も多かれ少なかれ影響されて変わっていく」というストーリー(だと思っている)。

根強く残る医局制度、急患受入体制の実態、病院数の不足、未承認薬品、赤ちゃんの生存権、精神障害者・不妊に対する差別や偏見(一般人、メディアの報道)、などなど、多くの医療の問題を対面する中で、斎藤は「目の前の患者の命を救うのが医者だ」という信念を元にもがき続ける。



医者の役割は何なのか、患者とは三人称の関係で
産婦人科では、「施術後のことも考えなければならない」と叫ばれる。
精神科では「退院したあとのことは知らない」と言われる。

医者の役割は果たしてどこまでなのか?命を救うことなのか、救った後のことも考えなければならないのか。

患者とは三人称の関係でいること、これはほぼどの科でも言われたこと。
斎藤のやってきたことはその逆だったし、関わってきた指導医が本当にやりたい治療は、あくまで患者にとって一人称としての医者であることが伝わってきた。

斎藤が関わってきた患者さんたちは最終的にみんな幸せになったんだと感じた。

するとやはり、一人一人の患者さんにとって、患者ではなく一人の人間として真摯に向き合ってくれることが、生死とは独立に大事なことなんだろうと思う。

自分はどんな医療を望むだろうか?



未来の医療は?
一方で、医療はどんどん進歩していて、iPSの実用化でそれこそ何でも治ってしまうんじゃないかと思う。

医療はどう変わっていくんだろうか?
ゲノム解析が安価に早くできるようになるまでに10年前後かかってることを考えると、iPS治療も実用化には技術的な課題解決に5~10年、そこに倫理的なルールの整備や治験に何年もかかるはずなので、一般的な導入は20年後くらいだろうか。

いままで助からなかった人たちが助かるのは間違いないだろうけれど、治療にはどのくらいの費用がかかるんだろう。
診療や治療が実施されるほど、医療費はかさむ。すでにGDPの1割弱が医療費(記事末に記載)に費やされている。

その医療費を支える税金は誰が払うのだろうか。
保険適用範囲内に入れられたらどうなるだろう。

20年後には人口は1億1000万人くらいだと予測されている。うち老年人口は全体の3割だ。それだけでも医療費はかさむのに、保険適用範囲内の新しい治療が増えて治療の件数が増えれば、当たり前だけど医療費に使われる税金も増える。(世界のほかの国々に比べると、平均寿命に対して1人当たり医療費が低く、効率の良い医療が行われていると言われているらしい。平均寿命と医療費の相関から医療効率がはじき出せるとは全く思わないけれど。単純な食習慣などの方が負荷量としては大きい因子だろうから。)

労働人口と高齢人口のアンバランスだけでなく、家計の平均年収も下がっていると言うし、今まで国内で稼いでいた人たちが海外に行ったら、ますます一般人の負担は増える。

医療技術的な発展によって、完治する病気が増えても、たとえばダビンチの応用で普段の診察も遠隔で出来るようになったとしても、そのコストを払う仕組みが追いつかないイメージしかない。結局医療費を払うのは国民全員。
個人的にはそういった医療の仕組みの方が気になっている。




グダグダと感じたたことを吐き出しました。
医療、みんなに身近なことだけれど目線がどうしてもサービス受ける側だけに偏ってしまいがちだけれど、仕組みまで視野を広げていきたいなと思います。政治とも絡んで来るので、これからもっと医療についての理解を深めないといけないですもんね。


参考
さくっと調べた資料のURL貼っておきます。
少し古いものも多いですが、ご参考まで。

●統計上の医療費の定義
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/37-21a.html#link03
医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものである。
この費用には、医科診療や歯科診療にかかる診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等が含まれる。
なお、保険診療の対象とならない評価療養(先進医療(高度医療を含む)等)、選定療養(入院時室料差額分、歯科差額分等)及び不妊治療における生殖補助医療などに要した費用は含まない。
また、傷病の治療費に限っているため、[1]正常な妊娠・分娩に要する費用、[2]健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等に要する費用、[3]固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用も含まない。

●医療費と平均寿命(2007年)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1640.html

●厚生労働省 人口10万人対医師数など
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/06/kekka1-2-4.html

●厚生労働省 医師などの統計表など
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/10/index.html

●都道府県別医師数
http://todo-ran.com/t/kiji/10343

●2006年ごろの医療の現場と課題など
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpax200701/b0047.html

●日経グローカル データで見る地域
http://www.nikkei-rim.net/glocal/glocal_pdf/031PDF/031data.pdf

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