2013年2月22日金曜日

環境を変えるのか、その中で耐えるのか。

「今の環境が嫌だから、やめたい」と言うと、「そんなんじゃどこに行ったってやめたくなるだけだわボケ」と言われることがある。大前研一氏の自分を変えるための教訓の第一項として出てくるのが「環境を変える」なわけだが、環境を変えないと何も出来ない人は環境を変えても何もできない、という否定意見もまた多い。

「今の環境が嫌だからやめたい」はダメなのか。
自分がうまく立ち回れた環境を経験したことがない内はやめない方がよいと思う。その前にやめてしまうといつまで経ってもやめ癖が抜けないと思うから。自分の中での基準みたいなものを作るためには、一度成功例を作っておいた方が良い。

似たような話で、「嫌だからやりたくない」と言うと「嫌なことやらないなんて仕事になんないわボケ」と言われることがある。好きこそものの上手なれ、とか、好きなことなら努力できる、とかそういう諸説がある割に、嫌いなことをやらないという意見を否定する声もまた多い。

「嫌いだからやりたくない」はダメなのか。
「やりたくない」には「やりたいことをやるためにやらなければならないやりたくないこと」と「そもそもやりたくないこと」の2種類があると思う。やりたい/やりたくないを好き/嫌いに置き換えてもよい。そういう人にとって前者のやりたくないことを実はやりたくないことと勘定していない可能性がある。もしそうなら、やりたいことを仕事に出来ていれば、やりたくないことだってやるわけだから問題ないだろう。

ただ、そもそものやりたいことが見つからないから全部やりたくない、というのであれば、それは我慢し働いた方がよいと思う。そういう自分の中に答えのない人はいつまで経ってもやりたいことは見つからないと思うからだ。やりたいことは自分の中で作るものであって、他人から受け取れるものではない。





さて本題。
こんなことを考えているうちに、どうして環境による影響は無視されてしまうんだろうということを考えた。みんな口を揃えて今の自分の実績(良い状況)が得られたのは環境が良かったからだと言っている割に、環境を今の自分の有様(良くない状況)の原因にする姿勢に対しての風当たりは強い。

要は他人のせいにしているやつは甘えだ、という主張。言いたいことはよく分かる。結局自分を変えるのは自分自身である。だけど、そこに与える環境の影響が絶大なのもまた確かなはずだ。

でも彼らはさらにこうかぶせるかもしれない。
「世の中そんなに甘くない。自分とマッチする環境に巡り合える確率なんて高くない。探している内に何もせぬまま死ぬぞ。」

仰るとおりだと思う。でもぼくはオッサンたちにこう言いたい。
「それならそういう環境を作ってるオッサンたちが、部下たちがイキイキ働けるような環境を作ればいいんじゃないんですか。」

そうすると彼らはこう言う。
「まだ大した価値も生み出してないお荷物がいっちょまえに意見するな。」

意見する権利を得るのに何か生み出した価値が必要なら、その世界は基本的人権が侵されてるんじゃないんですか、と思ってしまうわけだが、これも彼らからすると甘えである。





環境が人を変えるというところの例として、大学生の遅刻、ドタキャン現象を考えてみたい。おそらくどの世代の大人であっても、大学生は信用できないと思っていると思う。ぼくもそう思うし、大学生時代の自分にもそういうところがあったと思う。

で、大人たちは遅刻したりドタキャンした大学生に対してこう言う。
「そんなんじゃ社会に出てからやっていけないぞ。」

ぼくはこの解釈は間違っていると思う。こういう経験をして、卒業まで遅刻やドタキャンを繰り返し続けた学生も、社会に出た途端に、遅刻やドタキャンをしなくなると思っているわけである。

つまりこの遅刻やドタキャンをするという傾向は、属人的な性質ではなく、大学という環境に慣れきってしまった結果として現れている性質だ、ということ。根拠はない。感覚的な話である。おそらくだけれど、ここ数年に大学卒業した人たちならばなんとなくわかってもらえるのではないかと思う。

一方で、大学生活が遠い昔の大人たちは、この感覚を忘れてしまっている。だから当時自分も同じようなことをしていたことは棚にあげて、「遅刻やドタキャンをしている大学生はダメだ」とか言う訳である。昔は自分もそうだったでしょ?でも変わったんでしょ?それは自分で意識して変えていこうとする前に、環境がそうさせたでしょ?ということをぼくは問い正したい。

これを思い出す事が出来れば、自分の環境つくりの下手さを棚上げして若手社員の不出来さを批判するオッサンたちが減り、環境が良くなって、若手もオッサンもハッピーな社会になるんではないでしょうか。超人であれという発言は、世の中を良い方向には1ミリも動かしていきませんよ。

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