2012年11月24日土曜日

[TED] 自己組織化する話



先日見た6分TEDトークで面白いものがあった。


●スカイラー・ティビッツ:自己構築する物をつくる事は可能か?



専門的な部分の話はよくわからないけれど、ビルのような建物ですら自己構築できるようになるのかもしれないと思うとすごい未来。

2012年11月11日日曜日

結婚式に呼べる友人はいるか?


この歳(といってもまだ24歳だけど)、結婚式の披露宴やら二次会やらに行く友人が周りに増えてきた。特に女性は第1回目の結婚ラッシュのようで、1年くらいの間に5回前後はおめかしをしているように思う。

自分が結婚できるのか、したいのか、ということは置いておいて、もし仮に結婚するとなったときに自分が呼びたいと思う友人がいるかどうか、というのはこれからの友人付き合いの軸としてアリかも、というのがこの投稿のメッセージである。



自分の過去の人付き合いを振り返ると、中高の頃は勉強出来る人と、高校の時は部活の人、大学の時は、いわゆる意識の高い人、と付きあおうとしていた。特に大学の3年以降はかなり選民意識というか、「こういう友人を増やしたい」という欲が強く、フザけ合える人ではなく、まじめに議論できたり、将来のことを考えたり、自分の成長意欲を掻き立ててくれるような人、ばかりに目を向けていた。プライベートで仲良くできる人が欲しいとは思っていなかった。

それがいつの間にか、プライベートの友人を作りたいという気持ちに変わっていた。

働き出してみると、そういう成長というのは当たり前のように追い求めていかなければいけないことだし、毎日の仕事が日々成長の場である。会社の仕事にちゃんと向き合い、先輩たちの能力を吸収しようとしていれさえすれば、学び放題だ。
おかげさまで、無駄に人と会って自分の士気を高めるというような「意識の高い」行動も、ブームが過ぎ去ったのか、意味がないとわかったのか、ほとんどしなくなった。自分から「わざわざ」成長促進剤を求めるようなことをしなくなったのであった。1日12時間はそういう真面目な人間関係の中にしかいない。

一方、毎日仕事のことを話したり考えたりすることはあれど、自分のプライベートな話をできる人が一気にいなくなった。プライベートな話というのはつまり、チラ裏話である。

チラ裏話が出来るというのはつまり、相手にとって何の価値もないと分かり切っていることでも、臆せずに話ができるということであり、それは相手の時間を暴力的に奪っているにほかならない。
楽しかったこと、つまらなかったこと、悲しかったこと、幸せだったこと、すべては相手にとって何のメリットも与えないが、それを受け入れてくれる、またはそのくだらない話の中から相手が自ら何かしらのメリットを探して感じ取ってくれる。そういう関係が、チラ裏話ができる関係だ。

そう考えた時、結婚式は究極のチラ裏イベントでしかないと思う。
自分がいいパートナーを見つけたこと、そしてとても幸せなことを見せつけ「さぁぼく/わたしを祝って」と呼びつけるわけである。ご祝儀というお金まで払わせ、おめかしをさせ、出し物を考えさせる、という愚行だ。

そんなイベントに喜んで参加してくれる友人、逆に自分もこういうネジ曲がった考えを持たずに招待できる友人、そんな友人が一体何人いるのだろうか?

自分が「結婚式に呼びたい」と思う友人は、きっとお互いに大切な友人なんだと思う。そういう友人がいるのは、とても素敵なことだ。自分も相手も幸せだ。

これからはそういう人付き合いの方向性でいけたらいいかな、なんて思う次第。
そういう意味でシェアのアパートに住んでいてよかった。一人暮らしだったらプライベートなんてなかったかもしれない。
住民のみなさん、ありがとうございます。

命と死とジレンマ

実は11月4日の夜に、血縁ではないけれど去年お世話になった人が亡くなりました。
ぼくの誕生日は11月5日で、静かに息を引き取る命があった次の日に、自分は生誕を祝われたわけで。
この世界のどこかではいつでも新しい命が芽吹き、そして老いた命が消えていってることを強く実感させられました。

先日 our daily breadという映画を見ました。

僕たちが日常的に食べている食べ物がどうやってぼくらの手元に届くのか、その過程を定点観測した様子をただひたすら流す映画なのだけれど。
そこではたくさんの命が、人間様の食物生産過程の中で消えていっていて。

でもそれがそこで働く人たちの日常であり、その生命の抜け殻を食すのが僕たちの日常であり、そうやって他の命を殺めてその抜け殻を食してきた、その繰り返しが生物の生きてきた道であり歴史なわけで。

別に命を殺すなということが言いたいのではなくて。
ベジタリアンになれと言いたいのでもなくて。むしろ植物にも命はあるんだと思うくらいなわけで。

そうではなくて、ぼくらにとって近い存在であるはずの命が、こんなにも遠くに行ってしまった、いや、僕たち自身がその命という存在から遠ざかってしまったということが、
なんとなく憂慮しなければならないことのような気がしているということです。

最近好きなバンドに「世界の終わり」というバンドがありまして、
今は「SEKAI NO OWARI」という表記で活動しているのだけれど、
彼らの曲に「虹色の戦争」という曲があります。



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虫に歌があるなら何を叫ぶのだろう
「平和の解放」の歌を世界に響かせてるだろう

自由に耳があるなら何が聴こえるだろう
偽物の平和の歌が爆音で聴こえるだろう

虫が叫ぶ平和な世界で僕らは愛を歌っている
虫籠の中で終わりを迎えた「命」は僕に何て言うだろう

生物達の虹色の戦争
貴方が殺した命の歌が僕の頭に響く
The War Of The Rainbow Color
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ぼくはこの曲を聴いてショックでした。
こういう感覚でこの世界を見たことがなかったから。
それでも一方で深瀬さん(ボーカル)は「頭に響く」と歌う。

ぼくらが生きている今日も、世界のどこかで誰かが死んでいるし、
ぼくらが得した日でも、誰かが損をしているし、
ぼくらが笑った日でも、誰かが泣いているし、
ぼくらが愛の素晴らしさを歌っている間にも、誰かが愛を感じられなくて塞ぎこんでいるし、
ぼくらがぼくらの平和を願うということは、誰かの平和を壊しているということで、
そういう戦争が常に起こっていることにぼくらは気づかずに、今日もまた笑いながら誰かを殺してる。

一度でも、その「誰か」の声が頭に響いたことはありますか?
そんなことを考えた、24年と3日目の夜でした。

[English] Life, Death, and Dilemma


On 4th November, I lost a person who took care of me last year. As you can see above, my birthday is 5th November. On the following day when one life disappeared, I got celebration from my friends. In this world, new life blooms somewhere while old life dies down.

On the other day, I watched a film, “Our daily bread”, which is a film showing us various sorts of food processing by fixed-point observation. In that process, many lives are dying to be eaten by human beings.
-> Visit the page: http://www.ourdailybread.at/jart/projects/utb/website.jart?rel=en&content-id=1130864824947

However, that IS the daily life for the person who works there, that IS the daily life for us, people who eat the empty shells whose lives were removed, that HAD BEEN the way animate beings had walked and the history of us.

Don’t take me wrong. I don’t want to say, “Hey don’t kill any life.” or “Become a vegetarian.” or something like that.

I think we need to care that the lives existing around us have gone, if anything, we have gone far away from the lives which were next to us. Now there is a huge gap.

Do you know the band “End of the world”? This is one of my favorite.
I’ll introduce you one song which I love most.



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Lyrics:
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What did worms shout aloud if they had their own songs?
They would sing a song telling you “Freedom of peace”.
What did freedom heard if he/she had their own ears?
They would hear a song pretending a peace.
We are singing a love while worms are shouting their peace.
What did lives died in a worm cage say to us?

The war of rainbow colors between living matters.
A song lives sing, which you killed, is echoing in my head.
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I got shocked when I listened to this song first time because I’d never see this world like this. Still, the vocal sings like “a song echo in my head.”.

Today we are alive, someone is dying.
On the day we get lucky, someone makes a loss.
On the day we are crackling up, someone’s crying.
We are singing how beautiful a love is while someone is closing his/her mind without a love.
We wish our own peace, and it means we wish someone’s peace goes disrupted.
We never know that war is around us, and we get laughed while killing lives.

Have you ever thought of that “someone” at least once?
This is the night on 3rd day of my 24th year in my life.

2012年11月4日日曜日

[読後メモ] メイカーズ-21世紀の革命が始まる


先日発売になったメイカーズ。
個人的に気になる領域だったのでお借りして読みました。
感想というよりはメモの形で、引用しながら大事だと思ったところを以下まとめます。

銃・病原菌・鉄が食糧生産による人類の変化を書いたように、本著は工業化が起こることによって何が変わり、だからデジファブが起きることによってこうなるんじゃないか?という話が書かれている。その点は、未来学に興味がある自分としては面白かった。
ただ、デジファブによってどう変わって行くのか、についてはテクノロジー的に何が可能になるか、だけじゃなく、もう少し踏み込んでもらえたらより良かったかな。全体としては、起業とかデジファブとかしたくなる一冊。



p16 bit vs atomの話
しかし、ぼくらはアトムの世界、つまり、場所やモノの存在する現実の世界に生きている。(略)広義のデジタル経済は、およそ20兆ドルの売上規模があるという。同じ調査で、ウェブを含む経済全体はおよそ130兆ドルの規模と推定されている。

クリス・アンダーソン氏は冒頭より、「ビットとアトム」という表現でWEBやデジタルによる経済とモノ経済を比較します。ここでいうデジタル経済の定義がどこまでかチェックせずに本を持ち主に返してしまったのですが、世界規模で多めに見積もっても、15%程度の経済効果しかもたらしていないということになります。


気になったので自分でも調べてみました。

-OECD Internet Economy Outlook 2012
OECD Internet Economy Outlook 2012 | OECD Free preview | Powered by Keepeek Digital Asset Management Solution
こちらの資料のp.35を参考にすると、世界全体で考えたとき、ビジネス全体のVAのうちICTの占める割合は8.5%くらい。p.283あたりを見てみると、USでは、全GDPの内インターネットによってもたらされたGDPは8%程度しかありません。


-ICT産業の国際競争力強化に向けた提言-NRIコンサルティング事業本部 情報・通信コンサルティング部
http://www.nri.co.jp/opinion/r_report/pdf/201005_jouhou_tsushin_2.pdf
こちらの資料のp5でいうと、世界全体のGDPの内ICTの占める割合は2010年あたりで4%しかありません。


-第4章 情報通信の現状
http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/286922/www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/h21/html/l4212000.html
でもこちらの資料を見ると、およそ30%が情報通信産業となっています。

どれが正しいのかはわかりませんが、資料の数でいうと「ICTの経済全体に対する貢献度は10%前後」が実際に近そうですね。


●p32 メイカーブームメントの特徴
  • 1.デスクトップのデジタル工作機械を使って、モノをデザインし、試作すること。
  • 2.それらのデザインをオンラインコミュニティで当たり前に共有し、仲間と協力すること
  • 3.デザインファイルが標準化されたこと。おかげでだれでも自分のデザインを製造業者に送り、欲しい数だけ作ってもらうことができる。また自宅でも、家庭用のツールで手軽に製造できる。これが、発案から起業への道のりを劇的に縮めた。まさに、ソフトウェア、情報、コンテンツの分野でウェブが果たしたのと同じことがここで起きている。

メイカーズとは、上記のような特徴を持ったモノ作りをする人たちのこと。


●p46 ボトムアップイノベーション
無数の個人によるボトムアップのイノベーションが、いままさに生まれている。初期のPC愛好家からウェブコミュニティの参加者まで、ビットの世界では個人がイノベーションを起こしてきた。

ICT分野では、オープンプロセスで個人が集まり、コミュニティが生まれ、イノベーションが起こってきました。PCのときも、インターネットのときも。



●p54 産業革命の意味
産業革命が人々の日々の営みの中でどんな意味を持つべきなのか考えてみるべきだ。

この問いかけは未来を考える上でとても重要なことだと思っています。
1つ1つの変化が、消費者の日々の生活にどんな意味を持ち、ビジネスのバリューチェーン、サプライチェーンの中でどんな意味を持ち、社会における人間の生産価値がどう移り変わっていくのか。

単なるSFとしてではなく、歴史を振り返り、人類の歴史的な変化のポイントでは一体何が起こり、どういった意味合いを持っていたのか、という視点を持った上で新たなテクノロジーによる変化を想像し、自分たちの現代の生き方を再構築していなかなくてはいけない。


●p51工業化のもたらしたもの、衛生状況改善の価値
「工場労働にはさまざまな悪い面があったにしろ、工場の近くに住むことのメリットの方がはるかに大きかった。」

  • 工業化⇒効率化⇒製品が安くなる⇒製品が国全体に広がる
  • 工業化⇒収入増加⇒栄養摂取状況良好
  • 工業化⇒安い清潔な衣服が手に入る⇒健康
  • 工業化⇒農村から工業都市⇒土壁の小屋から、湿気や疫病を遮断するレンガ作の家になる⇒清潔健康
  • 工業化⇒農村から工業都市へ移動⇒医者や学校などの教育福祉資源にアクセスが可能に
  • 工業化⇒工場増加⇒農業より綺麗で健康的な環境⇒清潔健康
  • 工業化⇒毛織物から綿へ⇒洗濯乾燥が楽⇒清潔健康


●p66 過去の工業化は、現在のIT化と同じ夢を人々に抱かせた
「機械の普及によって、イギリスでは大多数が農業に従事していた時代が終わった。(略)そうした仕事は、土地にも地主にも結びつきのないものだった。家庭内で働く人たちは、より自立し、経済的な行き先を自分でコントロールできた。(略)少なくとも労働者は自分で時間を管理できた。それは起業につながる道だったが、本当に差別化されたイノベーションを生み出すまでには至らなかった。」

これ、最近のノマド論と同じ構造だと思いませんか?自分の生活に焦点を当てれば、自由な時代になったかもしれないけれど、それでは新しいものは生まれない。


●p146 コミュニティとオープンソフトウェアによるビジネス
メイカーズが行うビジネスは、
  • 開発すべてがマーケティング
  • 最初からグローバルで戦う
  • コミュニティはマーケティングチャネルであり顧客サポート


●p183 安い労働力へと向かうグローバルな貿易は終わる
「オートメーションの占める割合が増えて労働力に依存する部分が減れば、人件費の低い国で生産する意味はあまりなくなる。(中略)ロボット工場の台頭によって、これまで数世紀ものあいだ続いてきた、安い労働力へと向かうグローバルな貿易の流れは、終わりを迎える可能性がある。」

著者はもちろん、すべての新興国への生産工場移転が終わるとは言っておらず、生産規模によって今と同じように新興国への生産移転を続けるビジネスもあると説明しています。ただ、すべての製造業が新興国トレンドにあるわけではないと。

メイカーズの生産規模が小さいと、オートメーション化するためのランニングコストが規模の経済を利用しなくとも低くなる状態まで、機械の性能及び生産コストが下がらなければ採算が合わない気もしますが、そのバランスさえ取れれば、うまく機能していくのでしょう。


●p198 メイカー企業は雇用を創出できるのか?
ウェブを利用したメイカーモデルの上に成り立つ企業には、それができる。なぜだろう?
「まず、ほとんどのメイカー企業はオープンコミュニティから始まるため、ネットワーク効果による高い成長の可能性があらかじめモデルに組み込まれている。コミュニティは、より迅速で、より安く、より高度な製品開発プロセスや提供するだけでなく、より安く、より効果的なマーケティングを可能にする。(略)
次に、ウェブを土台にしたこれらの企業は、低価格のサプライヤーを見つけることから、請負業者を使ってバーチャルに製造することまで、すべてにおいてウェブを有効に活用する。(略)
さらに、こうしたオンライン企業は、生まれた瞬間からグローバルだ。彼らは国境を越えてニッチ市場に製品を販売している。」

ここまで言い切られると、挑戦したくなりますよね(笑)


●P203 エコノミックガーデニング
細かい引用が出来ないのですが、検索したら下記資料が出てきましたので、リンクを貼っておきます。
-NTTデータ研究所の考える日本版エコノミックガーデニング
http://www.keieiken.co.jp/services/community/img/eg.pdf


●p207 メイカーズの成功例:スパークファン
  • 入手困難な部品を販売する小さなウェブストア(エレクトロニクス部品を取り扱ってる)
  • 物価の高いコロラド州ボールダーに会社がある
  • どうやって低コスト製品と戦ってるのか?⇒「オートメーション、顧客や彼らのニーズへの深い理解、そして社員による日々のブログやチュートリアルの周辺に築かれたコミュニティ」
  • 「安い労働力を見つけることだけが製造業の成功要因ではないことを証明している」
  • 「デザインインカリフォルニア。メイドインチャイナ」なのだといわれる。こういう現状がある中での成功。


●p208 メイカーズの適正生産規模
「要するに、数百万個単位ではなく数千単位で販売される特殊な電子部品なら、アメリカでも製造することは可能なのだ。」



●p210 インダストリアルコモンズ
ピサノとシーは、イノベーションを維持するための集合的な開発、エンジニアリング、そして製造能力といった、インダストリアルコモンズを積み上げること重要だと述べている。

「彼らの販売するツールが周辺企業をより強くすることが、いちばんの効果だ。言い換えれば、彼らは新しい雇用を生み出すだけでなく、新しい企業をも生み出すのだ。」

スパークファンは、そうした新たな産業のインダストリアルコモンズの集積地となっている。